今回の記事は頭板状筋のトリガーポイントについてです。
板状筋は頸板状筋、頭板状筋に分けられ位置関係としては頭板状筋のほうが浅層にあります。
頭板状筋の関連痛領域は少し変わった範囲で広がっています。筋緊張性の頭痛の場合、頭板状筋にトリガーポイントが形成されている場合が多いです。
頸部の筋肉は入り組んでいるため苦手な方もいるかもしれません。
ランドマークをしっかり定めてトリガーポイントを探しましょう。
今回の記事は
- 頭板状筋の解剖学
- 頭板状筋の関連痛領域
- 頭板状筋のトリガーポイントが形成されやすい部位
- 頭板状筋のトリガーポイントの刺鍼法
最後まで宜しくお願いします。
頭板状筋(とうばんじょうきん)の起始停止
まず頭板状筋の解剖学のおさらいです。
起始 |
項靭帯の下半分
C7~Th3の棘突起
|
停止 | 側頭骨の乳様突起 後頭骨 |
神経支配 | 第4〜8頚神経後枝 |
作用 | 頸部の伸展、側屈、同側回旋 |
栄養血管 | 大動脈の筋枝 |
以上が頭板状筋の解剖学的なデータになります。
頸部の筋肉は忘れがちなのでしっかり確認しておいてください。
頭痛のred flag sign
レッドフラッグサインとはご存知でしょうか!?
red flag signとは重篤な疾患の警告兆候という意味です。
私たち鍼灸師は頭痛などの主訴の方を施術する際「あーいつもの頭痛だね」って簡単に考えてはいきません。症状の奥に重篤な疾患があるかどうか常に頭に入っておかなければなりません。特に頭痛などは命に関わるのでレッドフラッグサインは必ず頭に入れておきましょう。
初めて、または人生最悪の頭痛
突然発症した雷鳴頭痛
増悪、または全く異なるパターン
脳神経学的異常所見が1時間以上続く
50歳以上で新規に発症した頭痛
担癌患者、免疫抑制患者、妊婦に起こった新規の頭痛
意識変容や意識障害を伴う頭痛
労作、性行為、バルサルバ法(いきみ)により誘発された頭痛
当てはまる場合には、くも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍等の重篤な疑う
医知場HPより
この他、血圧なども必ず測定するようにしましょう。
頭板状筋のトリガーポイントの好発部位
頭板状筋のトリガーポイントは頚部の上部の横突起をランドマークに探してみてください。
筋の走行をイメージして直角に探していくと硬くなった索状の硬結が見つかると思います。
トリガーポイントが形成されている部位の周囲はヌルヌル(プロテオグリカンが多い為)していることが多くヌルヌルしている感覚を探すのも非常に大事です。
頭板状筋上の経穴
経穴とトリガーポイントは同じではないですが、経穴の周囲にはトリガーポイントは形成されやすいです。
ですのでランドマークとして確認しておくのも大事です。
天柱(てんちゅう)
瘂門穴の外、1寸3分、頭半棘筋の膨隆部の外縁
風池(ふうち)
風府の外方で、僧帽筋と胸鎖乳突筋との間の陥凹中
天牖(てんゆう)
下顎角の後方で、胸鎖乳突筋の後方
になります。
押圧してみて認知覚があればトリガーポイントの可能性は非常に高いですよ!
頭板状筋のトリガーポイントの関連通領域
次は関連通領域を見ていきましょう。
頭板状筋の関連痛領域は
- 頭頂部から前後に広がる痛み
- 眼の上から側頭部付近に広がる痛み
- 後頸部の痛み
が特徴的になります。
俗にいわれる筋緊張性頭痛の症状に類似してます。
頭板状筋のトリガーポイントの刺鍼法
実際の頭板状筋のトリガーポイントの刺鍼の動画はこちらになります。
頭板状筋のトリガーポイントを狙うときにあまり深く刺す必要はありません。
頭板状筋は頸部の伸展筋の第二層になりますので深く刺すと後頭下筋群に当たる可能性があります。
ですので僧帽筋を通過し、頭板状筋で留めるのがポイントになります。
まとめ
頭板状筋のトリガーポイント鍼治療は筋緊張性の頭痛や肩こりなどにはかなりの効果が期待できます。寝違えなどの首の痛みにも関係していることが多く、触れるようにすることで臨床が変わると思います。