今回の記事は『烏口腕筋のトリガーポイント鍼治療』についてご紹介していきます。
烏口腕筋は肩甲骨の烏口突起につき肩甲骨の前傾などに関係します。
烏口腕筋が短縮を起こしたり働きが悪かったりすると肩関節の前方インピンジメントの原因にもなります。
今回の内容は
- 烏口腕筋の基礎解剖
- 烏口腕筋の関連痛領域
- 烏口腕筋のトリガーポイントの触診、好発部位
- トリガーポイント刺鍼法
です。
烏口腕筋は国家試験などでは烏口突起につく筋肉が烏口腕筋、小胸筋、上腕二頭筋短頭なので起始停止部で問題で出やすいですが、走行などは頭に入っていない事もありますよね!?
しっかり覚えて臨床に落とし込みましょう。
烏口腕筋の起始停止
まずは解剖学的なことから触れていきます。
起始 |
肩甲骨の烏口突起
|
停止 | 上腕骨中部内側 |
神経支配 | 筋皮神経(C5・6・7) |
作用 | 肩関節の屈曲、内転、水平屈曲 |
栄養血管 | 尺側側副動脈 |
になります。
烏口腕筋の作用
烏口腕筋は上の図にあるように、肩関節の屈曲、内転、水平屈曲ですが関節運動には他の筋肉に比べ貢献度が低く補助的な筋肉といえます。
しかし、烏口腕筋は肩関節の運動時に、肩甲骨の関節窩に上腕骨頭を求心位を保とうとします。
また肩甲骨の烏口突起に付着するので、肩甲骨の位置にも関与します。
インピンジメントになりやすい肩甲骨の位置異常として肩甲骨上方回旋+肩甲骨の後傾状態です。
これにより肩峰と上腕骨のスペースが狭小化を起こしインピンジメントを起こしやすくなります。
肩甲骨上方回旋+肩甲骨の後傾
||
肩峰と上腕骨のスペースが狭小化
このため、烏口突起を下方に引こうとする烏口腕筋の短縮などは肩甲骨の後傾に関与するため肩のアプローチを考える時に重要な筋肉になります。
烏口腕筋の関連痛領域
次に烏口腕筋のトリガーポイントの関連通領域をご紹介していきます。
次の図を見てください。
烏口腕筋の関連痛領域は
- 上腕の後側の痛み
- 前腕の背側の痛み
- 手の甲から3指背側に広がる痛み
それと肩関節の外側の三角筋領域に関連痛が広がります。
棘下筋などの関連痛領域と酷似しているため、鑑別が必要です。
烏口腕筋は回旋の運動には関与しませんので動きで確認するのがいいと思います。
烏口腕筋のトリガーポイント好発部位
次は烏口腕筋のトリガーポイント好発部位を紹介しています。
トリガーポイントを探す前に大事なのが触診です。
烏口腕筋は普段意識して触らない筋肉なので確認しましょう。
烏口腕筋の触診
触診を始める姿位は肩関節90°外転、外旋姿位です。
烏口腕筋を触診するのにまずランドマークとして触っていただきたいのが上腕動脈です。
下の図で青くなっているところです。
上腕動脈は腋窩動脈が腋窩から出ると上腕動脈になります。
しっかり拍動を感じましょう。
上腕動脈の拍動を感じたらやや末梢に指を動かし、肩関節の内転をしてもらいます。その下で収縮しているのが烏口腕筋です。
烏口腕筋を確認が出来たらトリガーポイントを探していきましょう。
筋腹から停止部である上腕骨中部内側に向かって筋を横断するように硬結を探していきましょう。
索状の硬結がさがせたら軽く押圧しましょう。
(この部位は強く押すとかなり痛いので愛護的に行うようにしましょう)
押圧して認知覚があればトリガーポイントであることが多いです。
烏口腕筋のトリガーポイントの刺鍼法
実際の烏口腕筋のトリガーポイントの刺鍼の動画はこちらになります。
実際の動画を見ていただいた方がわかりやすいと思いますので是非ご覧になってください。
先ほど見つけたトリガーポイントをしっかり押手で固定します。
このように細いトリガーポイントは私の感覚的には押手で捕まえるイメージになります。
トリガーポイントはプロテオグリカンが豊富なためヌルヌルした感覚のものが多く、押手が滑る場合があります。
逃がさないよう捕まえるのがとても大事です。
刺したらこのようになります。
上手く刺鍼できたらしっかり響きが得られると思います。
烏口腕筋のトリガーポイントは脇の下なので敏感なところなので、丁寧な手技を心がけましょう。
まとめ
今回の烏口腕筋のトリガーポイントをまとめると
- 烏口腕筋は肩の安定性に重要な筋肉
- 三角筋領域~上腕後面~前腕背側~三指に関連痛領域
- 腋窩よりやや末梢で触診
です。是非ポイントを押さえてくださいね!
最後までありがとうございました!