変形性腰椎症の鍼灸治療の一例

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こんにちは!

鍼灸スキルアップ塾の陣内です。

今回は『変形性腰椎症の鍼灸治療の一例』をご紹介していきます。

今回は臨床録です。私の備忘録的な側面もありますのでご了承下さい。

またどなたかの臨床の一助になれば幸いです。

今回ご紹介する変形性腰椎症は私の判断ではなく専門医での診断になります。

目次

80代女性 変形性腰椎症

主訴

腰部の痛み、臀部の痛み、10mほど歩行すると足にだるさが出る間欠性跛行様症状

専門医ではMRI上で腰椎狭窄症は認められないと診断を受ける。

身体的特徴

円背で身体が伸びない、膝が両側TKAを受けている

徒手検査

各種検査で特筆するような陽性所見はえられなかった

施術例

ご高齢の方で円背で腰痛の場合のほとんどが上位交差性症候群、下位交差性症候群を複合して起こっていること多く非常に厄介なことが多いです。

上位交差性症候群の聞き覚えのない方は上の図を参考にしてみてください。

いわゆる猫背の方はこのような状態が多いですよね。

この点を踏まえて施術をしていきます。

仰臥位

仰臥位ではこのような部位を狙っていきます。

まず仰臥位で短縮している筋肉を狙って刺鍼をしていきます。

胸鎖乳突筋と腹直筋を狙うことが多いです。

この部位は短縮していることも多いですが、トリガーポイントが形成されていることも多いです。

鍼灸真髄の中で昭和の名鍼灸師の澤田健先生が巨闕穴への灸で身体が伸びるとおっしゃっていたのはこのことかなと思うことも多いです。

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話は違うのですが、福島弘道先生のナソ治療の記述は非常に参考になる表現です。

トリガーポイントの概念がまだない時代に私的にはトリガーポイントの表現の仕方なのではないのかなと思っています。

ナソ治療は頸部のアプローチですがこの場合(本題からそれてしまいました)腹直筋のトリガーポイントは胸腰椎移行部付近に痛みが出ることもあるのでアプローチをすることも多いです。

伏臥位

伏臥位では華佗夾脊穴を狙うように単刺もしくは置鍼で行います。

今回は胸椎領域は単刺で行い腰椎部は置鍼+鍼通電で行いました。

腰部は多裂筋領域および腰方形筋をねらい置鍼。

(鍼通電は多裂筋を促通目的で100Hz100μsecで通電しています)

多裂筋刺鍼はこちらも参考にしてみてください。

この場合殿部痛は各種徒手検査などでも陽性所見が得られないところや円背で腰椎後弯、圧痛位置から考えると上殿皮神経由来と推察し、上殿皮神経にアプローチするように神経走行を狙って皮膚透刺を行っています。

刺鍼後、腰椎の前弯を誘導するエクササイズを行うことで症状改善の維持とセルフケアをお伝えしています。

数回の施術で歩行の延長及び腰痛の軽減が認めらた。

考察

専門医による腰椎部での狭窄が認められず間欠性跛行様の症状を呈する一例でしたがこのような症状を訴えられる方は多く感じられる。

この場合の多くは腰椎部の後彎を呈していることがほとんど。

腰椎部の後弯を呈すると重心線が通常の場合膝関節の前側を通るのだが膝関節の後側を通るようになる。

このことにより大腿四頭筋などの負荷が増大し易疲労性の症状が出ると推察される。

特に今回であれば両側のTKA後ということもあり大腿四頭筋の筋の低下が認められたので症状が顕著に表れたのではないだろうかと考えられる。

この場合腰椎の伸展ができるようにの可動域の訓練とともに多裂筋などの腰部の支持筋をどう賦活させるかがポイントになるかと思う一例だった。

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陣内由彦(じんのうち よしひこ)
@jin_anzu

【職業】
鍼灸整骨院経営

【保有資格】
鍼灸師
柔道整復師

【主な活動】
各種学生スポーツにトレーナーとして帯同
セイリン公式セミナー講師
杏鍼灸整骨院公式YouTubeチャンネル
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YouTube鍼灸大学校臨時講師

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