こんにちは!
当ブログの管理人の陣内由彦です。
今回は私が普段行っている施術の一例をご紹介していきたいと思います。
ブログは基本備忘録的に書いていくこともありますので症例もできたら数多く書いていきたいと思います。
前回はアキレス腱の痛みに対しての鍼治療の記事でした。

今回でブログの方向を変えて症例を書き始めて7例目になります。
少しずつでも書いていけたらと思います。
整形外科疾患を診る場合重要なものは解剖学的な触診だと思っています。
この本は触診の技術を学ぶのには最適だと私は思っています。
鍼灸師には必携かなとも思っています。
しかも第二版になってカラーで見やすくなっています。
動画が増えてさらに見やすいです。
動画がない第二版は中古本がかなり安くなっているのでこれらもおすすめです。
腓腹筋の肉離れはラケットスポーツなどで多く起きる事もあり「テニスレッグ」ともいわれることがあります。
実際は他のスポーツでも起こる事があり今回の方はマラソンで肉離れを発症しました。
肉離れは度合いにもよりますが比較的に痛みだけは軽減しますので無理をして再発するケースがあります。
ですのでアスリートの場合計画的な復帰が重要になります。
腓腹筋の肉離れ
腓腹筋の肉離れは先ほどテニスレッグとも呼ばれるとご紹介しましたが、私は臨床的にテニスでの肉離れの臨床を経験したことがなく他のスポーツが多い印象になります。

これは国立スポーツ科学センターが出しているものなのですが、テニスはないですが腓腹筋の肉離れの数はサッカーが最多になっています。
もちろん競技人口の母数などの問題があるのですが私が経験した腓腹筋の肉離れもサッカーが多い印象になります。
また次に陸上競技が多いと思います。

肉離れの多くは二関節筋に起こりやすいといわれ収縮様式は遠心性収縮の際に引き起こされるとあります。
また腓腹筋の場合内側頭に起こる事が多く外側は稀だといわれています。
今回のふくらはぎの肉離れのケース

今回の怪我をされた方はマラソン愛好者の方で月間走行はおおよそ300㎞ほど走る方でもともとアキレス腱の痛みで来院される方でした。
アキレス腱の痛みが十分回復し練習が積めてきたとのことでしたのでフルマラソンのレースに出場されるという事でした。
フルマラソンの30㎞付近までは軽快に走れて違和感が出たそうですがそのまま完走したそうです。
ゴール後しばらくして痛みが出て動けなくなったそうです。
この状況は遠方だったのでお電話を頂き状況をお聞きしました。
ふくらはぎの肉離れは症状にもよりますがコンパートメント症候群になる事もありますのでまず専門機関に受診をする事をお勧めしました。
来院時の状況

来院時はふくらはぎの肉離れを受傷して1週間後ほどして来院されました。
加重する事が困難で松葉杖をして来院されました。
腓腹筋に腫脹、皮下出血斑が顕著に診られ圧痛は腓腹筋の内側頭に診られました。
当院で肉離れで来院された時にまず使用するのはIM-2000という機器を使用していきます。

IM-2000は損傷した細胞を回復しやすい状況、環境にしてくれる機器になります。
定電圧微弱電流機器で電気の抵抗値を図りながら通電していきます。
損傷部位は抵抗値が上がりにくく通電をする事により抵抗値が低くなっていくのが計測できます。
この低くなった状態が正常な状態に近く、治りやすい環境となります。
この状況で超音波などを照射していきます。超音波で腫脹や浮腫を軽減を目的で行う場合パルス照射で行う方がよくDUTYを20~30%ほどで行います。
ふくらはぎの肉離れの刺鍼

膝窩動脈拍動部に刺鍼(ここでは動脈に刺す意味ではない)します。
動脈拍動部に刺鍼してピコリナで微弱電流通電しました。
100Hz、200μs、0.1mAで通電。
やり方はこのようになります。
浮腫などがある場合このようなやり方が効果的だと思っています。微弱電流は通電率が高い血管内の血液などに通電し血管の拡張が起こる事が示唆されているのでこのようなやり方になります。
経験的な事ですがこのような通電方法で浮腫が改善されることが多いです。

患部への刺鍼は急性期の場合直接の刺鍼は骨化性筋炎などのリスクもある事から私の場合しません。特に炎症が強い自発痛がある時期は避けてやっています。
しなくても効果はあると私は思っています。
炎症期が終わり回復期になると筋収縮を促すようにやっていきます。
その段階から温熱療法などを入れる事とストレッチなどを入れていくようにしています。
今回も患部には刺鍼をしなくて浮腫を減らすように行うだけでも疼痛の軽減はかなり起こります。
しっかり時期を見極めて回復を促していく事が大事だと思っています。
このような急性外傷は
痛みがなくなった=治ったではない事
をちゃんと理解する事が大事です。
この患者さんは痛みがなくなるまで3週間ほど、マラソンの練習に完全に復帰するまで2か月(途中からウォーキング→JOGで少しずつ負荷を上げています)で完全に復帰しました。
まとめ
今回はふくらはぎの肉離れの鍼治療と物理療法の施術をご紹介しました。
スポーツ障害の臨床では肉離れは多く診る事になると思います。
肉離れは段階を間違えて練習を開始すると再発する事も多いので注意が必要です。