こんにちは!鍼灸スキルアップ塾の陣内です。
今回は膝の『スクリューホームムーブメント(終末強制回旋運動)』(screw home movement)(locking mechanism)について書いていきたいと思います。
スクリューホームムーブメントは専門学校時代習うことはさらっと浅く臨床に落とすことが出来ません。そこで今回は臨床に落とせる『スクリューホームムーブメント』を紹介していきたいと思います。
膝関節疾患をみる場合非常に重要になります。
是非理解をしておきましょう!
膝の疾患に対してアプローチなどが広がりますよ。
私は学生時代はあまり理解していなく臨床に出て理解をしていきました。
なるべくわかりやすく書いていきたいなと思っておりますので是非最後まで宜しくお願いします。
学校で習うスクリューホームムーブメント
私は柔道整復師と鍼灸師の資格をもっていますがスクリューホームムーブメントについては残念ながらサラッとしかいきません。まずは教科書をおさらいしときたいと思います。
柔整の教科書(運動学)では
膝関節の完全伸展位になる直前に大腿骨に対して脛骨の外旋、また完全伸展位からの屈曲初期には内旋運動が起こる。完全伸展位での外旋運動を終末強制回旋運動(screw home movement)あるいは膝を締める(locking mechanism)といい、不随意的に起こる運動である。この現象は大腿骨内・外側果が平行していないことと、大きさが異なることによる。
膝関節を完全伸展位にすると、大腿骨を脛骨に対してわずかに内旋位に固定され安定を保つ(終末回旋)。いわゆるロックされた状態である。逆に完全伸展位から屈曲すると初期にわずかの外旋が起こる。これは内側果のほうがやや大きいことや、半月の形態などが関連している。
このような記載しかありません。これだけの内容ではなかなかスクリューホームムーブメントについて理解は難しいと思います。しかもこれを臨床に落としていこうとなるとなかなか厳しいものがあります。
スクリューホームムーブメント(SHM)とは
スクリューホームムーブメントを簡単に説明すると
『膝関節の伸展しているときに、最終伸展域の30°くらいから起きる不随意の外旋運動』です。
これだけではなかなかわからないですよね。
まず一つ一つ噛み砕いていきます。
まずそれではなぜスクリューホームムーブメントが起こるか考えていきましょう。
スクリューホームムーブメントのメカニズム
スクリューホームムーブメントがおこるメカニズムを解剖学的特徴から大きく分けると
・大腿骨の内側顆と外側顆の大きさが違う為回旋が変わる。(脛骨大腿関節:FT関節)
・靭帯の緊張による誘導
この二つの要因が関係します。
FT関節の大腿骨の内側顆と外側顆
大腿骨の内側顆と外側顆の大きさが違う為回旋が変わる。と書きましたが、次の図を見てください。
内側顆が外側顆に対して少し大きいのがわかります、30°屈曲位から完全伸展位に向かっていくと回旋軸の方向が外側方向に曲がっていくのがわかると思います。
この動きが大腿骨に対して下腿の外旋運動を起こしていきます。
前十字靭帯による誘導
まずは靭帯の緊張を見ていきましょう
運動 | 外側側副靭帯(LCL) | 内側側副靭帯(MCL) | 前十字靭帯(ACL) | 後十字靭帯(PCL) |
伸展 | + | + | + | △ |
屈曲 | + | |||
外転 | + | + | △ | |
内転 | + | + | △ | |
外旋 | + | + | + | △ |
内旋 | + | + | + | △ |
+:靭帯の緊張が運動の制限になる
△:一部の線維が緊張する
前十字靭帯と内側側副靭帯、外側側副靭帯は膝が伸展することで緊張します。これらの靭帯が緊張することによって、伸展最終域で脛骨が外旋の方向に運動していきます。
そして最終域でどの靭帯にも適度な緊張が加わり最終域での関節の安定性に繋がります。
スクリューホームムーブメントの破たんに伴う膝疾患
ここまでは、スクリューホームムーブメントについて書いていきましたがここからは臨床に落としていきたいと思います。
膝の伸展運動に対してスクリューホームムーブメントは最終域で外旋することで膝関節の安定をはかっています。
しかしこの際外旋運動だけではなく
膝関節伸展運動では
を起こしています。
しかし、年齢とともに靭帯の緊張が緩んできてスクリューホームムーブメントが変化していきます。
とくに60代頃の女性では靭帯が緩み、膝を進展させると脛骨が前方に動き前十字靭帯、外側側副靭帯の緊張が低下して外旋誘導が出来なくなってきます。
外旋誘導が出来なくなりスクリューホームムーブメントが破たんをしていく結果となります。
これにより
靭帯が緩む
↓
脛骨が前方に移動する
↓
膝の伸展制限が生じる
↓
膝の安定性の低下
↓
膝関節変形症になっていく・・・・
ということになっていきます。
まとめ
今回はスクリューホームムーブメントについて簡単に説明していきました。
この理解は変形性膝関節症などには非常に重要なことになります。
鍼灸臨床では膝関節変形症はよく診ますし、スクリューホームムーブメントが破たんしていることによって予備軍の方もたくさんおられます。
是非普段の臨床にお役立てください。
最後までご覧くださりありがとうございました。
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