肩関節は人体の中でもっとも動く球関節のため、さまざまなストレスにさらされるため障害の種類はとても多くなります。
そのため、しっかりとした鑑別、見極めは非常に重要になります。
どこが悪いかをしっかり鑑別できると、施術の幅、効果に繋がります。しっかり評価できるようにしましょう!
肩峰下インピンジメントのテスト法
肩峰下インピンジメントは肩関節の後方の過緊張(タイトネス)などが原因となり烏口肩峰アーチに上腕骨の骨頭がおしあてられ痛みが出る事が多いといわれます。
推奨されるのはニアテストとホーキンステストです。
ニアテストNeer test
感度54〜81%、特異度10〜95%
やり方
①被験者は座位、もしくは立位で行います
②セラピストは患側側に立ち、一方の手で被験者の手を持ち内旋位にします。
③もう一方の手で肩甲骨を上から把持し固定します
(肩甲骨をしっかり固定するのがポイント!肩甲上腕関節だけを動かすイメージです)
④内旋位のまま肩関節を屈曲させていきます。
判定基準は痛みと、クリック音がでたら陽性 になります。
ホーキンステストHawkins test
感度63〜74%、特異度40〜89%
やり方
①被験者は座位、もしくは立位で行います。
②セラピストは患側に立ち、肩関節屈曲90°、肘関節90°で保持します。
③この位置から肩関節、内旋方向に力を加えていきます
陽性所見は痛みと、クリック音がでたら陽性 になります。
判定基準は痛みでたら陽性 になります。
肩関節の柔軟性のテスト
肩甲上腕関節の柔軟性のテスト法になります。
CAT (Combined abduction test)
HFT (Horizontal flexion test)
の二つをご紹介します。
CAT (Combined abduction test)
コンバインーアブダクションテストです。
主にCATといわれるテスト法です。
CATは柔軟性をみるテストですので必ず健患比較を行いましょう。
やり方
①被験者を仰向けに寝てもらいます。
②セラピストは検査する肩の方に立ちます。
③片方の手で肩関節を軽度屈曲位にします。
④もう片方の手でしっかり肩甲骨を固定します。
(肩甲骨をしっかり固定するのがポイントです。肩甲上腕関節のみ動かすイメージです)
⑤肩甲骨を固定したまま肩関節を屈曲させます。
HFT (Horizontal flexion test)
ホリゾンタルーフレクションテストです。
HFTといわれるテスト法です。
このHFTも柔軟性をみるテストですので必ず健患比較を行いましょう。
やり方
①被験者を仰向けに寝てもらいます。
②セラピストは検査する肩の方に立ちます。
③片方の手で肩関節を90°屈曲位にします。
④もう片方の手でしっかり肩甲骨を固定します。
(肩甲骨をしっかり固定するのがポイントです。肩甲上腕関節のみ動かすイメージです)
⑤肩甲骨を固定したまま肩関節を水平内転させます。
判定基準は肘頭が顎あたりまで来るのが正常です。しかし、健患比較で左右差が出る場合は陽性といえます。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)損傷のテスト法
ローテータカフ損傷は肩関節障害でも比較的多い疾患です。テスト法も多いのでしっかり使えるようにしましょう!
フルカンテストFull-can Test
フルカンテストは棘上筋の損傷を調べるテスト法になります。
やり方
①被験者は立位か座位になってもらいます。
②患側の肩関節を肩甲骨面上(軽度水平屈曲位)で45°程外転させます。
この時前腕は回内回外中間位(母指が上)で行います。
③手首を把持して上方から下方に力を加えます。
④被験者はその力に抵抗をしてもらいます。
判定基準は力が入らない、抵抗できない、痛みが出た場合は陽性です。
エンプティカンテストEmpty-can Test
エンプティカンテストは、棘下筋損傷のテスト法になります。
やり方
①被験者は立位か座位になってもらいます。
②患側の肩関節を肩甲骨面上(軽度水平屈曲位)で45°程外転させます。
この時上腕は回内位(母指が上)で行います。
③手首を把持して上方から下方に力を加えます。
④被験者はその力に抵抗をしてもらいます。
判定基準は力が入らない、抵抗できない、痛みが出た場合は陽性です。
ホーンブローワーテストHornblower Test
ホーンブロワ―テストは小円筋損傷のテスト法になります。
やり方
①被験者は立位か座位になってもらいます。
②患側の肩関節を肩甲骨面上(軽度水平屈曲位)で90°外転させます。
③肘を90°屈曲させます。
④セラピストは肩を内旋方向に力を加えます。
⑤被験者は外旋方向に力を入れ抵抗します。
判定基準は力が入らない、抵抗できない、痛みが出た場合は陽性です。
ドロップアームテスト Drop arm Test
ドロップアームテストは腱板損傷、断裂の有無を確認するテスト法です。
やり方
①被験者は座位になってもらいます。
②セラピストは患側に立ち、一方の手を肩を持ちもう一方の手は手首を持ちます。
③肩関節を他動で外転90°まで挙上します。
④セラピストは被験者に外転90°で保持するように指示します。
判断基準は外転90°を保持できなかったり、痛みが出たら陽性とします。
代償運動も出やすいので、肩甲骨の動きも注視しましょう
SLAP損傷のテスト法
肩関節のスポーツ障害のひとつで、 関節唇の上腕二頭筋腱付着部が剥離、もしくは断裂をするものです。
主に、オーバーヘッドスポーツ(野球の投球、ラケットスポーツなどの頭の上で腕をふるもの)で起きやすいといわれます。
オブライエンテストO’Brian Test
①被験者は立位もしくは座位で行います。
②肩関節90°屈曲、水平内転10°にします。
③肩関節を内転させます。(母指が床を指す位置にします)
④セラピストは手首を把持し、下方に負荷をかけます。
⑤その負荷に抵抗するように指示します。
⑥次に肩関節を外旋させます。(手のひらを上に向けます)
⑦④~⑤と同じようにします。
判断基準は内旋位で痛みやクリック音があり、外旋位で軽減した場合が陽性とします。
クランクテストcrank test
①被験者は立位もしくは座位で行います。
②患側の肩関節を肩甲骨面上(軽度水平屈曲位)で90°外転させます。
③肘を90°屈曲させます。
④肩甲骨を上から抑え固定します。(肩甲骨をしっかり固定するのがポイントです。肩甲上腕関節のみ動かすイメージです)
⑤肘あたりを把持して、関節窩方向に圧迫しながら、内旋外旋を行います。
判断基準は痛みやクリック音が生じた場合が陽性とします。
まとめ
肩関節は非常に臨床上難しい関節です。
しかし、しっかり評価が出来ると治療の幅が広がりますし、アプローチが決まります。是非活用してみてください!