こんにちは!
当ブログの管理人の陣内由彦です。
今回の記事も学生さんと話した時に頂いたご質問に対してのお答えしていた内容のご紹介になります。
前回記事はこちらになります。
いや~この時
いい質問ですね!
を連発していましたw
オフラインでお話をするときいい質問が出ると話が止まらなくなるんですよね。
でお話に熱中した結果がこんなご感想をいただきました。
今回のこの話は懇親会の一幕ですが鍼通電の痛みに対して説明が目の前の鶏肉で話しちゃったわけですねw
もちろんその鶏肉はお話の後でおいしく頂きました。
それでは本編に入っていきたいと思います。
鍼通電で出力を上げるとすぐに不快な痛みが出る
『鍼通電で出力を上げるとすぐに不快な痛みが出る』
これって鍼通電を始めた時によく聞く話ですよね?
この質問を頂いた学生さんの養成学校では解決策として
『もう少し深く刺して』
という解決方法を教えてもらうそうなのですが、それでも解決しないことが多くあるそうです。
今回はそこを少し説明していきたいと思います。
最初に言いたいことはこれは深く刺してといっている養成学校を否定しているわけではないとのことをご確認お願い致します。
それではまず痛みが出る原因を考えていきましょう。
浅いと鍼通電は何で痛みが出る?
それでは解決方法を考える前に浅いと痛みが出ている原因を考えていきましょう。
原因として考えられるのはいくつかあります。
- 電流密度の問題
- 皮膚層は電気抵抗が高い
- 感覚受容器が多い
もっと多く考えれますが今回はこの電流密度からみて解説をしていきたいと思います。
電流密度の問題
さあ『電流密度』って聞いてやだなって思うアンチ理系の方もおられるかもしれませんが簡単な話なのでイメージを持ってくださいね!
それでは電流密度をWikipediaで調べてみると
これではなかなかわかりにくいですよね?w
まず電流密度を理解していく前に電流というものを少し復習をしましょう。
電気通電をするときの電気の値でmA(=ミリアンペア)という数値がありますよね?
ピコリナなどはこの表記なのですがオームパルサーなどはV(電圧)表記なですね。実際はあの数値はVp-pなので今回その話をしちゃうとわかりにくくなるので今回mAで統一します。
オームパルサーもV表記ですが実効値は20mAまでなので計算はされていると思います。
(この辺詳しく知りたい人はご連絡くださいw)
ちょっと話はそれましたが電流の強弱は簡単にいうと電子の流れた量の事なんですね。
イメージでいうとこんな感じです
電流量というのはこんなイメージで持ってもらうといいと思います。
(詳しく知りたい人はちゃんとしたテキスト読んでくださいね!)
この本は物理療法の最新の知見から実際の臨床につながるようなものまで書かれているので非常に参考になります。
鍼通電のことは書かれていませんが鍼通電も基本はTENS(経皮的電気刺激)に準ずる考えでいいと思います。
で電流密度になるとこの電流(電子の数)がどれくらいの面積に流れてるかっていうことなんですね
例えば粘着パッドがわかりやすいので例えると同じ電流量で大きさの違う粘着パッドに通電したとします。
左側は50mm×90mmのサイズで右側は50mm×50mmの大きさのパッドになります。
この粘着パッド同じ電流量(mA)を通電すると大きい左側のパッドの方が電子が広がっているので電気の感じ方が柔らかく感じます。
これはなぜかというと『電流密度が低い』からなんですね。
これを鍼にすると鍼が浅いと電流密度が高くなりピリピリ感じやすい結果となります。
つまり刺鍼深度が浅いと通電の際電流密度が高いため不快な痛みが起こりやすいと考えれますね。
ちなみにこの電流密度の観点から細い鍼は腐食が起こりやすく鍼が折れやすいことが考えられますので通電は3番以上にしましょう。
さらにいうと1cm以上の刺鍼深度を提唱しているのもこのためですよ!
電気抵抗の問題はちょっとややこしくなるのでまずこの電流密度の問題をしっかり持ってもらえればいいかなと思います。
感覚受容器の問題は事項でちょっと触れます。
次の疑問
浅い場合痛みが出る理由はわかってもらえたと思います。
わかりにくいって方は粘着パッドでやってみるとすぐわかると思います。
こんなもんは文字で見るより実際感じてもらった方がすぐ理解できるんでw
(元も子もない話ですが・・・)
では次に出てくる疑問は深く刺してもピリピリするような不快感があるとき。
ですよね。
ここからの話は僕の経験則や私見がかなり入ってきますのでご了承ください。
鍼通電後不快感がすぐに出る理由
この現象自体は比較的初級者の方に起こりえると私は思っていて原因の多くは押手の左右圧がちゃんとできていないことが多いと思っています。
押手がきちんとできていないと切皮痛の原因になることは多く知られていると思いますが、切皮以上に刺入に多くの問題を残してしまうことがあります。
その中で一番の大きい問題としては『刺鍼点の皮膚と刺入される組織のずれ』です。
例えば押手の母指圧が強ければ皮膚はそちらの方に引っ張られ皮下の組織とずれた状態で刺入されてしまっている状態になります。
押手を上げれば鍼が斜めになってしまうときですね。
この状態ってねじれが出てしまうので刺入の時などにも不要な痛みが起きてしまうことの原因にもなります。
鍼通電で出力が低くて痛みが出る場合もこのような状況の時が多いと僕は考えています。
皮下には感覚受容器が多く存在しますし、その中で痛みを感じる高閾値機械受容器やポリモーダル受容器も存在するため捻じれ構造の段階で通電することで痛みが惹起することは容易に想像できます。
ですので大事なことは『基礎技術』だと思っています。
まあちょっと反則的なやり方になりますが、皮下まで鍼を引き抜き(刺鍼転向法ができるぐらい)鍼を左右に振るとこの捻じれはかんたんになくなります。
まあこれぐらいの鍼の操作ができれば押手の問題は解決できていると思いますが・・・・
まとめ
今回は『鍼通電で痛み!?その問題は深さだけですか?』っていう題で書いていきましたが、最終的な答えとしては基礎技術という普通の答えになってしまいました。
でも大事なのは座学にしろ、技術にしろ基礎だと僕は思っています。
僕も臨床経験は毎日、毎週、毎月、毎年伸びていくわけですが大事なのは基礎の研鑽だと思っています。
この記事のを書くきっかけをくれた学生さんにはとても感謝です。
それでは今回も最後までご覧くださりありがとうございました。