大腿前面の筋緊張、肉離れの回復期の鍼灸的介入法|ピコリナ使用例

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こんにちは!鍼灸スキルアップ塾の陣内です。

今回は『大腿部前面の筋緊張が強い場合の電気鍼』についてまとめていきたいと思います。

大腿部前面の筋緊張が強くなることはアスリートなどで多いですし、膝関節障害を抱えている人にはstiffnessを抱えていることも多いのでアプローチをすることも多いと思います。

でも意外と鍼をしたあとに痛みを感じることって多くないですか?

私は免許をとったばかりの頃、苦手意識もありました。今回ご紹介するやり方は私の中でも再現性も高く効果も良好なやり方をご紹介したいと思います。

普段の臨床に少しでもお役に立てる記事にしておりますのでぜひ最後までご覧になってください。

目次

大腿部前面の痛み

大腿部前面の痛みの多くは大腿直筋の損傷が多いとされ、下肢肉離れの中でもハムストリングの肉離れについで二番目に多いとされています。

また年齢も比較的に若い方に多いとされ、体感的には中学生〜高校生までが多いようなイメージがあります。

大腿直筋は大腿四頭筋の中で唯一の二関節筋なので運動においても貢献度も高く、損傷しやすいのも容易に考えが付きます。

大腿部前面で狙うポイント

前項で、大腿直筋が損傷しやすいとご紹介しましたが臨床において大腿直筋だけにアプローチをして大きく改善が見られたって私は少ないような気がします。

もちろんアプローチの仕方でいい結果を出している先生も多くおられると思いますが、私の経験では少ないと思っております。

そこで今回は大腿直筋だけではなく、縫工筋を一緒にアプローチをすることが多いです。

なぜかというとまず次の図をご覧になってください。

私が臨床でよく狙うポイントの考え方は赤で丸く囲った部分がとても重要になってきます。

青い筋肉は縫工筋と大腿直筋なのですが、この筋肉たちの隣接する境界面になります。

縫工筋と大腿直筋は股関節の動きに関しては屈曲と同じ作用をする筋肉ですが、膝関節の動きに関すると縫工筋は屈曲、大腿直筋は伸展と拮抗する作用をもちます。

ですので、この筋肉たちの滑走性が低くなることにより大腿部の痛みの原因になっているのではないかと私は思っております。

実際、この部分の滑走性を出すことによって大腿部の痛みが改善されることも多く再現性も高くなっています。

基礎解剖

まず鍼をする前に基礎解剖からおさらいできるようにご紹介していきます。

縫工筋の起始停止

起始 上前腸骨棘(ASIS)
停止 脛骨粗面の内側
神経支配 大腿神経(L2~L3)
作用 股関節の屈曲、外転、外旋膝関節の屈曲

下腿の内旋

栄養血管 大腿深動脈

下行膝動脈伏在枝

大腿直筋の起始停止

起始 下前腸骨棘(ASIS)、寛骨臼の上縁および関節包
停止 共同腱(大腿四頭筋腱、膝蓋腱)へ移行後、膝蓋骨を介して脛骨粗面
神経支配 大腿神経(L2~L4)
作用 股関節の屈曲、膝関節の伸展

同時に作用をおこすと下肢伸展挙上運動を起こす

栄養血管 大腿動脈

になります。基礎解剖を普段から復習しておくのは非常に重要になりますので覚えておくようにしておきましょう。

患部の触診方法

まず行っている動画をご紹介していきます。

是非全体的な流れもありますので動画もご覧になってください。

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静止画でもご紹介していきます。

まず膝の下に半円枕などをいれて膝関節を軽度屈曲位で触っていきます。

縫工筋と大腿直筋は2つの筋肉とも非常に筋のレリーフが現れやすく、この状態で膝関節の屈曲と伸展に抵抗運動を加えると容易に走行が観察することができます。

おおよその筋の走行はこうなります。実際に触って確認するのがいいので是非臨床の前に普段からの練習などで触察できるようにしましょう。

順番はどちらからでもいいと思いますが、大腿直筋に鍼をしています。

大腿直筋は長軸方向にやや斜刺気味にするほうが効果は高いです。

次に縫工筋に向かって鍼をしていきます。

鍼を大腿直筋と縫工筋にしたら次に行うのはパルスを流していきます。

ここでポイントになるのが大腿直筋と縫工筋に違う周波数の電気を流すということです。

筋肉の弛緩を促すために、周波数は2〜5Hz程度の電気を流すのですが、若干ずらした周波数を流すことによりバラバラの収縮を起こします。

このときピコリナのような2ch単独でできるパルス機器ならば1台でできますがない場合は2台あれば可能だと思います。

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このように別々の周波数を起こさせ筋肉を触察していくと大腿直筋と縫工筋の筋間がはっきりと分かると思います。

そこの筋間に母指を少し鋭利に押し当て滑走不全を少しづつとっていきます。

筋間最初はわかりにくくても繰り返すことで明瞭になってきます。

超音波がある場合はこの部分に当てることでかなり効果的になります。

超音波の立体加温によりコラーゲン線維の伸張性がかなり高まります。

温度 生理的変化 臨床的意義
3~4℃ 腱、関節包、および瘢痕組織の膠原繊維(コラーゲン)の伸張性を増す。 伸張性を促進し腱、関節包および拘縮組織のROMを増す
2℃ 運動および知覚神経の伝達速度を増し、疼痛閾値を高める

骨格筋の収縮緊張を和らげる

筋紡錘の緊張を和らげる

痛み治療による筋スパズムの減少

疼痛の軽減

筋肉のスパズムを和らげる

1℃ 血流の促進

代謝の促進

慢性の炎症を軽快させ、筋のスパズムを減少させる

これが超音波の温度別の効果の期待できる部分になります。ですので、しっかり筋間の温度上昇が効果を高めるポイントになります。

このように、鍼治療+電気+超音波(鍼に直接の照射は禁忌)はかなり効果的ですよ。

まとめ

今回は『大腿前面の筋緊張、肉離れの回復期の鍼灸的介入法』についてまとめてみました。鍼灸と物療を組み合わせることにより非常に効果が高くなると私は思っております。

今回のやり方は一つの施術の提案になっています。是非参考にしてみてください。

最後までご覧くださりありがとうございました。

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