こんにちは!鍼灸スキルアップ塾の陣内です。
今回は『肩関節の前面の痛みに小胸筋、烏口上腕靭帯の電気鍼』についてまとめていきたいと思います。
肩関節の前方の痛みは非常に多く、アプローチも様々です。その中でも烏口上腕靭帯(CHL)は問題になりやすく鍼治療でも狙いたい部分のもなります。肩関節の外旋障害にも大きく関与しているのでとても重要な部分になります。
今回の記事は
- ✓肩の前方のアプローチはどこを狙った方がいい?
- ✓肩関節の外旋障害のポイントは?
- ✓拘縮肩に困っている
などの方にオススメな記事となっています。
是非普段の臨床にお役立てください。
それでは最後までよろしくおねがいします。
烏口上腕靭帯(CHL)
烏口上腕靭帯はいわゆるローテーターカフ、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋が肩関節を巻き付くように肩板を構成しており、上方を覆う棘上筋と前方を覆う肩甲下筋との間隙部は腱板組織が薄くもしくは存在しない腱板疎部(Rotator interval)を補強するように構成されています。
また、烏口上腕靭帯は小胸筋の停止腱の一部と結合しているといわれ靭帯組織ですが、筋組織も内包しているといわれるため受容器も豊富で鍼灸領域でも介入しやすいと推測されます。
(本来靭帯は血管や受容器が乏しいといわれています。そのため鍼灸領域などでは比較的狙われることが少ないとされています。)
走行的にも肩関節の前面を補強し、滑走不全や機能不全により肩関節の外旋制限にも関与しています。
小胸筋との関連性も踏まえ、小胸筋の筋緊張のコントロールと烏口上腕靭帯のアプローチがとても重要なことも容易に想像ができると思います。
鍼を刺入するポイント
狙うポイントは先ほどもご紹介したのですが、小胸筋と一緒に狙った方が効果的になると思います。
小胸筋部は気胸の恐れもありますので刺鍼は 細心の注意を行ってください。
小胸筋の刺鍼についてまとめている記事はこちらになります。こちらも良ければご覧になってください。
刺鍼する際基本になるのは触診です。
触診がしっかりできていると刺鍼技術は確実に上がります。まず触診を大事にしましょう。
この本は確実に触診の技術を上げてくれますよ。
肩関節の鍼の刺し方
それでは実際の鍼の刺し方をご紹介していきます。
実際の鍼の流れもありますのでお時間のある場合は是非動画もご覧になってください。確実に見たほうが臨床にお役に立てると思います。
静止画でもご紹介していきます。
まず烏口上腕靭帯を触るところから始めましょう。
烏口上腕靭帯は先程ご紹介したように肩関節前方の安定性に非常に重要になります。
烏口突起の外側から始まり大結節、小結節にまたがり終わります。
ですので、烏口突起外側部に指をあて内転・伸展・水平伸展・内旋をしていくと烏口上腕靭帯の緊張が触知ていくのが確認できると思います。
しっかりその動きを確認していくようにしましょう。
もちろん肩関節障害の患者さんでは痛みを感じてしまいますので、普段からの練習で研鑽しておくようにしましょう。患者さんに行う場合は愛護的に行うように心がけましょう。
烏口上腕靭帯が確認できたら小胸筋に対しての鍼をしていきます。
小胸筋と烏口上腕靭帯の関係はご紹介しておりますが、単独で烏口上腕靭帯にするより小胸筋に鍼をしたほうが効果的だと思います。
狙い方は乳頭と烏口突起を結んだ線の中点あたりが最も小胸筋に鍼を刺しやすい位置になります。
あと烏口突起の下端に鍼を打つと刺鍼しやすくなります。
やや斜刺で鍼を打っていくといいと思います。この場合表層に大胸筋があるので刺鍼する際、鍼の鍼柄をもつと鍼先の感覚がわかりやすいと思います。
赤丸の部分を持つようにしましょう。大胸筋を抜ける感覚がわかると思います。
烏口上腕靭帯は先程触診したルートを覚えておいて刺していくようにしましょう。
この際、骨に近いので水平刺と斜刺の中間ぐらいの角度で刺すようにしましょう。
鍼がさせたらパルスをしていきます。
まず基本の設定方法です。
一次痛 | 二次痛 | |
神経 | Aδ線維 | C線維 |
周波数 | 高頻度
100Hz以上 |
低頻度
1~30Hz程度 |
パルス幅 | 100μsec以下 | 100μsec以上 |
出力 | 我慢ができるくらい | 筋収縮が起こるぐらい |
が基本になります。
筋の緊張が強い場合は3〜5Hzでもいいと思います。
痛みが強く局在性がはっきりしていれば1次痛の設定をするようにしましょう。
まとめ
今回は『肩関節の前面の痛みに小胸筋、烏口上腕靭帯の電気鍼』についてまとめていきました。
烏口上腕靭帯は肩関節障害に大きく関与しますが、固有受容器も多く鍼灸の施術は非常に効果的だと思っております。是非普段の臨床にお役立てください。
最後までご覧くださりありがとうございました。
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