鍼治療|腸腰筋群の停止部付近での刺鍼法

腸骨筋
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腸腰筋は腰痛や股関節痛の原因になりえる筋肉です。しかし、体表に出ている部分は少なく触りにくい筋肉の1つです。

インナーマッスルともいわれますが股関節の屈曲などに関してはモビリティマッスル(主に動く筋肉)です。体幹の動きや股関節の動きには非常に重要な筋肉です。

しっかり狙えることによって効果がしっかり出ますよ!

今回の記事の内容は

  • 腸腰筋の解剖
  • 腸腰筋の働き
  • 腸腰筋停止部の鍼の打ちかた

です。ぜひ最後まで見られてください。

目次

腸腰筋の起始停止

腸腰筋群は大腰筋、腸骨筋、小腰筋の三つを合わせて腸腰筋群と呼ばれます。小腰筋は50%ぐらいの方が欠損している事と、股関節の屈曲の要素がない、停止位置が違うので割愛します。

まず鍼の事の前に解剖学的な事を確認していきましょう。

大腰筋の起始停止

大腰筋

起始 2頭筋で浅頭と深頭に分けられる。

浅頭はTh12-L4の椎体より起こる。

深頭はTh12と全腰椎の肋骨突起より起こる。

停止 大腿骨の小転子
神経支配 腰神経叢の直接の枝と大腿神経
作用 大腿の屈曲

大腿を固定すれば腰椎の前弯を強める。

栄養血管 腸腰動脈(腰枝)

腸骨筋の起始停止

腸骨筋

起始 腸骨の内面の腸骨窩

下前腸骨棘

停止 大腿骨の小転子
神経支配 腰神経叢の直接の枝と大腿神経
作用 大腿の屈曲

大腿を固定すれば骨盤の前傾

栄養血管 腸腰動脈(腰枝)

腸腰筋の押さえておきたいポイント

腸腰筋は大腰筋、腸骨筋が鼠径靭帯の手前で合流し筋裂孔を通り、大腿前面に出た後大転子に終わります。

主な働きとしては、股関節の屈曲や身体を前屈する動作で働きます。

それと大事なのが腸腰筋群は股関節の安定性に関与するということです。

これには腸腰筋の股関節の角度によって作用が変わることを理解することが大事です。

0°-15°の場合・・・大腿骨頭を寛骨臼へ安定させる
15°-45°の場合・・・腰椎前弯・骨盤前傾をする
45°-60°の場合・・・股関節屈曲(外旋)をする

これらの機能も覚えておきましょう。

腸腰筋が大腿骨頭を求心位に保とうとする作用が股関節の前面の安定性には重要です。

ですので、股関節のインピンジメント(FAI)やグローイングペインシンドロームなどに腸腰筋の促通や鍼治療で痛みが軽減がすると考えています。

ランニング(歩行)などで股関節を伸展させた状態になると大腿骨の骨頭は前方に滑ろうとします。(黄色の矢印)

その際、伸展位では腸腰筋が遠心性収縮、0°以上からは求心性収縮で大腿骨頭を求心位に保とうとします。

ですので、股関節の前面の安定性には腸腰筋はとても大切なんですね。

腸腰筋の刺鍼法

腸腰筋の働きを理解した所で鍼の打ち方の一例をご紹介していきます。

タイトル通り今回は停止部付近の鍼です。

停止部は小転子ですね。

小転子部に鍼を打つ際は姿位が大切になります。

鍼の打つ姿勢は『股関節屈曲軽度外旋位』で打つことになります。

股関節を屈曲させることにより、小転子は触りやすい位置になります。

股関節

今の状態は軽度屈曲位ですが、小転子の位置を見てもらったらわかると思います。このまま屈曲位にしていくと非常に触りやすくなりますよね!?

この位置を頭に入れていただくとやりやすいと思います。

解剖学では解剖学的姿位で学習することが多いので動いたら骨や筋肉の位置関係がどうなるかを理解、想像することが臨床ではとても大事になります。

腸腰筋刺鍼

刺す姿位はこのように股関節屈曲軽度外旋姿位にします。施術者の骨盤に膝をあてて安定をはかります。

安定させれるかで施術の効果は大きく変わりますのでしっかり固定する様にしましょう。

この状態で長内転筋の筋腹を潜るように鍼を打っていくことがポイントになります。

うまく腸腰筋に当たると股関節周囲に広がる得気を得れると思います。

運動鍼でする場合は刺入して得気があったら皮下組織まで浅い位置まで鍼を引き抜きます。

その後、股関節を動かし痛みがある関節位置でもう一度刺入

これを繰り返す事で股関節の可動域は大きく変わりますよ。

刺入はこんな感じですね。

実際鍼を刺している動画はこちらになります。

動画も見ていただくとわかりやすいと思いますので是非見られて下さい。

まとめ

腸腰筋は臨床上とても大事な筋肉でアプローチが重要です。しかし、教科書や学校教育ではなかなか取り扱わない部位でもあります。

しっかり解剖学的な知識と技術があれば効果の高い部分になりますので是非参考にされて下さい。

腸骨筋

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