今回ご紹介する記事は『肩甲挙筋のトリガーポイント鍼治療』です。
肩甲挙筋は頚部と肩甲骨をつなげる筋肉で肩こりや頚部痛には非常に関係する筋肉です。
昔から肩外兪や肩中兪など肩コリを治すためのツボが肩甲挙筋上に存在します。
肩甲挙筋は頚部から肩甲骨につく中間ぐらいでねじれている筋肉です。
四つ脚歩行から二足歩行になる時に形態状そのようになったといわれております。
今回の記事は
- 肩甲挙筋の基礎解剖
- 肩甲挙筋のトリガーポイント関連痛領域
- 肩甲挙筋のトリガーポイント好発部位
- 肩甲挙筋の触診、トリガーポイントの刺鍼法
になっています。
ぜひ最後までご覧になってください。
肩甲挙筋の起始停止
起始 |
第1〜4頸椎の横突起
|
停止 | 肩甲骨の上角 |
神経支配 | 肩甲背神経(C3~C5) |
作用 | 肩甲骨の挙上、下方回旋 |
栄養血管 | 肩甲背動脈 |
肩甲挙筋は僧帽筋に覆われている筋肉で、肩こりなどの症状の際原因になりやすい筋肉です。
「たかが肩こり、されど肩こり」この筋肉にちゃんとアプローチが出来るかどうかで肩こり治療の効果は変わりますよ。
肩甲挙筋は起始部が上部の程内側につき、下部になると外側につくため「捻じれ」を生じた形になります。この部位が力学的に弱くなるためトリガーポイントの形成につながると思っています。
肩甲挙筋のトリガーポイントの関連痛領域
肩甲挙筋の関連痛領域をご紹介していきます。
まず下の図を見てください。
肩甲挙筋の関連痛領域は
- 後頚部に広がる痛み
- 肩甲骨の内側縁に放射線状に広がる痛み
- 肩後面の痛み
になります。
主な痛みは僧帽筋の下行部、横部辺りになります。
つまり「the 肩こり」ですね。
痛みの感じとしては肩をすくませる動作などで再現が出来て、肩の奥の方にある重く痛い感じが特徴です。
肩甲挙筋のトリガーポイントの好発部位
次は肩甲挙筋のトリガーポイントの好発部位をご紹介していきます。
次の図を見てください。
まずよくトリガーポイントが形成されやすいのは肩甲挙筋が肩甲骨の上角につくあたりです。このあたりは肩凝りを自覚する方に多くみられる部位です。
経穴でいうと肩外兪や肩中兪あたりになります。
肩中兪(けんちゅうゆ)
第7頸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方2寸
肩外兪(けんがいゆ)
第1胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸
また肩甲挙筋がねじれている部分は力学的に負担がかかるためにトリガーポイントが形成されやすいといわれています。
肩甲挙筋のトリガーポイントの触診と刺鍼法
トリガーポイントに刺鍼するために必要なのが触診です。
触診の精度によって施術効果が変わります。私は刺鍼技術より触診技術の方がとても大事だと思います。
肩甲挙筋の触診
簡単に走行をご紹介します。
肩甲挙筋を触る際まず肩甲骨の上角をまず触ります。
次に側頭骨の乳様突起を目印にします。なぜ乳様突起かというと環椎や軸椎などの横突起は触診するするのは現実的には難しく、目印としてそこから近い乳様突起を仮のランドマークとします。
まず上角から筋線維をたどって頭部方面に指を動かしていきます。
上角と頭部を結んだ中間あたりから後頚部にいく線維(上の写真の黄色)と乳様突起にいく線維(青の線)があります。
乳様突起方向にいく線維が肩甲挙筋です。
肩甲挙筋と僧帽筋の分かれ目付近でトリガーポイントが形成されやすいです。
肩甲挙筋のトリガーポイント刺鍼
実際に鍼をしている動画になります。
肩甲挙筋の停止部付近に鍼を打つ場合刺鍼方向は肩甲骨の裏側に打つようなイメージで打っていきましょう。
斜刺ですることによって間違って深く刺してもほぼ肋骨にあたり気胸のリスクは下げられます。
それにこの方向の方が私は効果が高い気がします。
動画では上角付近に3本鍼を打っていますが、2本目に局所性の筋収縮(ローカルトゥイッチ)がしっかり出てます。是非動画も見てください。
中間部付近は筋を横断するような方向で鍼を打ちましょう。
この部分は肩甲挙筋が一番体表に近い部分を通過していますのでそんなに深く刺す必要はありません。
まとめ
今回は肩甲挙筋のトリガーポイントについてまとめました。肩甲挙筋は肩凝りの重要な筋肉です。
要点をまとめると
肩甲挙筋は捻じれている(捻じれ部分は弱い)
捻じれ部分と停止部にトリガーポイントが形成されやすい
関連痛領域は後頚部~肩甲間部におおい
触診は僧帽筋と分ける
刺鍼は肩甲骨のうらを狙う
です。
是非参考にされてくださいね。最後までありがとうございました。
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