小菱形筋、大菱形筋は肩甲間部にある筋肉で肩コリの原因筋になります。昔から『病膏肓に入る』と言われる膏肓というツボがあるのも菱形筋部ですね。
菱形筋にトリガーポイントができると非常に頑固なこりを感じるようになります。しっかりアプローチができるようになりましょう。
今回の記事は
- 菱形筋の解剖
- 菱形筋のトリガーポイント
- 菱形筋トリガーポイントの刺入の仕方
の説明になります。是非最後までご覧になってください。
大菱形筋と小菱形筋の起始停止
菱形筋は大菱形筋と小菱形筋に分けられます。
大菱形筋は「だいりょうけいきん」と読み、小菱形筋は「しょうりょうけいきん」と読みます。
小菱形筋の起始停止
起始 | C6~C7の棘突起 |
停止 | 肩甲骨の内側縁上部1/3 |
神経支配 | 肩甲背神経 |
作用 | 肩甲骨の内転、下方回旋、挙上 |
栄養血管 | 肩甲背動脈 |
大菱形筋の起始停止
起始 | Th1~Th4棘突起 |
停止 | 肩甲骨の内側縁下部2/3 |
神経支配 | 肩甲背神経 |
作用 | 肩甲骨の内転、下方回旋、挙上 |
栄養血管 | 肩甲背動脈 |
になります。菱形筋は僧帽筋の下にある筋肉で刺鍼する場合には【層】のイメージがとても大事な要素になります。
浅く鍼を打つと僧帽筋にしか刺鍼がする事ができません。
しかし、深刺しすることにより気胸のリスクがあると学校では習いますよね!?
そこで大事なのが解剖学的な知識とイメージと技術です。
菱形筋のトリガーポイント形成部位
菱形筋のトリガーポイントが形成しやすいと言われている部位は肩甲骨の内側縁にできやすいと言われています。
経穴で言うと膀胱軽の二行線上ですね。
先に言った膏肓穴もここに属しますよね。
筋肉の繊維に沿って触診をして硬結を探すときは筋繊維に対して直角に切る感じで触診すると棒状の硬結が触れると思います。
菱形筋の関連通領域
菱形筋の関連痛領域の範囲は
- 肩甲間部に広がる痛み
- 肩甲骨の上部に広がる痛み
になります。
菱形筋群にトリガーポイントが形成されると一番特徴的なのが肩甲間部に残る頑固な痛みです。
この領域の痛みが出ると菱形筋のトリガーポイントをしっかり処理をしなければ痛みの改善がない事が多いです。
菱形筋のトリガーポイントの刺鍼
実際に鍼を打っているのがこちららになります。
菱形筋に鍼を打つときは気胸があるために基本は斜刺になります。
肋骨の走行状に対して90°で鍼を打つと気胸の心配が少なくなります、
しっかりイメージを持つことが大切になります。
小菱形筋に刺す場合は肩甲骨の上角の少し下あたりから肩甲骨の下をくぐるように斜刺で打ちます。
トリガーポイントに当たると患者さんには認知覚(=自分の悪い所、痛い所に当たっている感覚)があると思います。
大菱形筋の場合の斜刺の角度はこのような感じですね。
しっかり角度をつけてうちましょう。
このような感じですね。ある程度の深さを指さないと僧帽筋にしか刺さりません。
しっかりイメージしながら鍼を打ちましょう。
菱形筋にある経穴
筋肉上にある経穴周辺にはトリガーポイントが形成されやすい場合もあります。
確認しておくのもいいと思います。
膀胱経 第一行線
大杼(だいじょ)
第1胸椎棘突起の下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分
風門(ふうもん)
第2胸椎棘突起の下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分
肺兪(はいゆ)
第3胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分
厥陰兪(けついんゆ)
第4胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分
心兪(しんゆ)
第5胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分
膀胱経 第二行線
附分(ふぶん)
第2・第3胸椎棘突起間、後正中線の外方3寸
魄戸(はくこ)
第3・
膏肓(こうこう)
第4・第5胸椎棘突起間の後正中線の外方3寸
神堂(しんどう)
第5胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸
譩譆(いき)
第6胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸
まとめ
菱形筋のトリガーポイントは肩凝りや背中のコリの原因になっていることが多いです。
いわゆる猫背、巻き肩などで肩甲骨が外転、前傾などをしている状態では菱形筋は遠心性収縮(エキセントリック)を強いられ常に負担のかかっている状態になります。
小胸筋や前頸部の筋肉などの施術をするとともに菱形筋のトリガーポイントを施術することにより、背中のコリ、肩こりの施術効果が変わりますよ!