今回の記事は『胸鎖乳突筋のトリガーポイント鍼治療』についてまとめていきます。
胸鎖乳突筋は頸部前面にある筋肉で、肩こり、頭痛などにとても重要な筋肉です。
しかし、頸部の前面に鍼を刺すの苦手とか不安感を与えるとかでされない鍼灸師の方もおられますよね!?
今回の方法は後方から胸鎖乳突筋に刺入する方法でトリガーポイントを狙います。
今回の内容は
- 胸鎖乳突筋の基礎解剖
- 胸鎖乳突筋の関連痛領域
- 胸鎖乳突筋のトリガーポイントの触診、好発部位
- トリガーポイント刺鍼法
寝返りや起き上がり動作では頸椎の回旋と側屈がまず起こります。その時にメインで動くのが胸鎖乳突筋です。
動きや関連痛を頭に入れ臨床に落とし込めるようにしていきましょう!
胸鎖乳突筋の起始停止
起始 |
胸骨柄前面と鎖骨の胸骨端
|
停止 | 側頭骨の乳様突起、後頭骨上項線外側部 |
神経支配 | 副神経、頸神経(C2C3) |
作用 | 頭部を反対側に回旋、頭を前下方に引く |
栄養血管 | 後頭動脈、上甲状腺動脈の枝である胸鎖乳突筋枝 |
大きく呼吸をするときは、胸郭を引き上げる作用があるので吸気を補助します。
猫背などで背中が丸くなると胸郭の動きも悪くなるし、胸鎖乳突筋の動きも出なくなるので呼吸が浅くなるのはこのような理由からも考えられます。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントの関連痛領域
胸鎖乳突筋のトリガーポイントの関連通領域は胸骨に付着部を持つ胸骨頭と鎖骨に付着する鎖骨頭で違います。
ですので一つずつ見ていきましょう。
胸骨頭の関連通領域
胸骨頭の関連通領域は
- 頭頂部付近
- 後頭部から耳の横を通り目の上に広がる痛み
- 咽頭部から胸骨付近に広がる痛み
になっています。
鎖骨頭の関連通領域
鎖骨頭の関連通領域は
- 後頭部と耳介の痛み
- 目蓋の上から額の痛み
になります。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントの好発部位
胸鎖乳突筋のトリガーポイントの好発部位は起始部、停止部、筋腹喉の部位にもできやすいといえます。
関連通領域のところで胸骨頭と鎖骨頭で分けましたが胸鎖乳突筋のトリガーポイントは混在していることが多く詳細に分けることはできません。
その為、しっかりとした触診で判断しなければいけません。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントの刺鍼法
実際の鍼を刺しているを動画はこちらになります。
側臥位はこちら
腹臥位はこちら
実際の流れは動画を見た方がわかりやすいと思いますので時間のある方是非動画を見てくださいね!
それでは静止画でも説明をしていきます。
側臥位での鍼の説明をしていきます。
まず鍼をする前の触診になります。
胸鎖乳突筋の触診
触診はまず側頭骨の乳様突起をランドマークとします。乳様突起を確認したら首を反対側に回旋してもらいます。
胸鎖乳突筋のレリーフが確認できると思います。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントを確認するときのポイントは示指と母指で挟みながら押圧をしていきます。
押圧をしながら認知覚を確認します。
胸鎖乳突筋のトリガーポイント刺鍼
胸鎖乳突筋の刺鍼をする時のポイントは僧帽筋の横行部を刺鍼する時の押し手と同じように筋肉を挟みながら行います。
中指で胸鎖乳突筋の前縁を持ち上げながら示指、母指で押し手をつくり刺入していきます。
この時、中指を母指で認知覚が出るポイントを探り放さないようにしてください。
トリガーポイントが広範囲である場合はこのように多刺していきます。
これ以上に刺すことも多いです。
まとめ
胸鎖乳突筋のトリガーポイントをまとめました。
簡潔にまとめると
胸鎖乳突筋はスマホ首、ストレートネックの問題筋
関連痛領域は頭部の広範囲にかけての痛み
鎖骨頭、胸骨頭に分かれるが臨床的には混在していることが多い
トリガーポイントに鍼をあてるのは押し手が重要になる
です。
是非、普段の臨床に落とし込んでいってもらえたらと思います。
最後までありがとうございました。