こんにちは!
当ブログの管理人の陣内由彦です。
今回は私が普段行っている施術の一例をご紹介していきたいと思います。
ブログは基本備忘録的に書いていくこともありますので症例もできたら数多く書いていきたいと思います。
もちろん患者さんの個人情報がわからない範囲ですが。
前回の症例は間欠性跛行様の症状を呈する方への施術の一例でした。

今回はランニング時に多い膝の外側の痛みについてです。
しかもランナーではなく格闘家でランニング時に痛みが出るケースです。
私がもっているのは第1版なのですがこの記事を書いている(R4年12月)に調べたら第3版が出ていました!
競技性について各種目毎に書いてあるのでいろんな種目のアスリートを診る先生にはおすすめな本です。
競技により怪我をしやすいマップなども各項に書いているので助かります。
知らない競技をさも知っているように振る舞うのはいかがなものかと思いますが、競技性や怪我をする機序を理解しようとすることは重要なことだと思います。
現場に行って勉強をさせてもらうことが一番勉強になりますが予備知識がないと現場では邪魔になることもあります。
事前準備は大事ですね。
ランニング時の膝外側の痛み

ランニング時膝の外側が痛いといわれたとき何が頭に浮かびますか?
例えば膝の外側の痛みでランニングして痛いと聞けば
『腸脛靭帯炎(ランナー膝)』っていうのが頭に浮かぶと思います。
でもどこの関節や部位でも同じことが言えるのですが
◯◯(症状)だから△△(←疾患名)はかなり危険です。
例えばですが上の膝の図に丸をつけたのですがどれも丸の部分が膝の痛みとするなら患者さんにとっては全部
『膝の外側』
なんですよね。
問診はすごい大事ですが思い込みは危険なのでしっかりとした鑑別は重要です。
例であげると
赤丸は腸脛靭帯炎
青丸は外側側副靭帯
緑丸は外側半月版、タナ障害
などが考えられます。
今回のケースは赤丸の範囲に痛みがありました。
Ober’s test(オーベルテスト)、Grasping test(グラスピングテスト)なども陽性所見がえられました。
今回のケースで言うと大腿骨の外側上顆部での圧痛も確認できたため一番考えられるの腸脛靭帯炎が考えられると思います。

腸脛靭帯は大殿筋、大腿筋膜張筋などが付着するためこれらの筋肉が緊張すると腸脛靭帯の緊張が高まり体重を安定させる働きがあります。
ただ先程書いたのですが付着というより大腿筋膜張筋、大殿筋、外側広筋などの筋膜が合流し肥厚しているところが腸脛靭帯と考えられるのでこれらの筋がタイトネスの状態になると腸脛靭帯が緊張し大腿骨外側顆のところで摩耗するようになります。
この状態が腸脛靭帯炎を生むとされています。
(むちゃくちゃ簡単に書いていますのでご了承ください)
実際の施術

今回の患者さんは普段から格闘技をしており上の写真のように組む動作が多くなると殿部の張りと腰痛が出ると来院される方でした。
今回も痛みや張りが出るが自覚するような感じではないのですがタイトネスがあるような状態でした。
このことから腸脛靭帯の緊張が高まり大腿骨の外側上顆で痛みが出ていたと推察できます。
ですので施術は
大腿筋膜張筋、中殿筋に鍼通電で筋ポンピングを狙う
炎症患部には鍼通電で微弱電流
股関節外転筋群が上手く使えていなかったのでNMESを行う。
2度の施術で痛みがなくなり施術終了となる。
まとめ
今回はランニング時に膝外側の痛みを呈していた腰痛患者さんへの鍼灸治療+物理療法の一例という事でご紹介をしていきました。
患者さんは膝の外側に痛みがあるなどという範囲で痛みを伝えてくれることがほとんどだと思います。
問診は大切なことで臨床上でたくさんのヒントをくれますが一つの情報で判断をしてしまうと大きな勘違いをしてしまうことがあります。
今回は膝の外側に痛みがあるということでちょっとだけですが他の疾患をご紹介しました。実際はもっと考えないといけないし膝の問題じゃないこともあります。
患者さんの体を診るときは勝手な思い込みをせず診ることが肝要だと思います。