こんにちは!
当ブログの管理人の陣内由彦です。
今回は私が普段行っている施術の一例をご紹介していきたいと思います。
ブログは基本備忘録的に書いていくこともありますので症例もできたら数多く書いていきたいと思います。
前回は腓腹筋の肉離れに対しての肉離れの鍼治療でした。

今回でブログの方向性を変えて症例を書き始めて8例目になります。
少しずつでも書いていけたらと思います。
膝関節を臨床で診るのに大事なのは動きから病態把握ができるかどうかだと思います。
鍼灸のテキストではなかなか動きに関しての紹介が少ないので膝関節に対しての理解がしにくいところもあると思います。
特に変形性膝関節症は鍼灸臨床では来院される事も多いと思います。
この本は変形性膝関節症に関して非常にわかりやすく書いております。
変形性膝関節症は国民において症状がある方が約1000万人、症状の自覚がない変形を呈している潜在的な方が3000万人といわれ国民病とも考えられます。
鍼灸臨床においても寄与できる部分はあると私は思っております。
痛みの軽減を鍼灸分野で行いながら運動療法を行うことによって効果的なことも多いですよ。
変形性膝関節症の痛み

今回のご紹介する変形性膝関節症の方は80代の女性の患者さんで普段は登山をされるようなアクティブな方です。3000m級の山をまだ登られているような方で整形外科にて変形性膝関節症の診断を受けています。
本人は常に痛みがあるわけではないですがいつまで趣味の登山ができるか不安に思っておりました。
その中で急に痛みが強くなったことで来院になりました。

変形性膝関節症の痛みの多くは膝の痛みの多くは内側にあることが多くこの方も膝の内側に痛みがありました。
腫脹があり膝蓋跳動が認められました。(血腫などがある場合関節内部の損傷が考えられるため専門医の受診を促しております)
この方は顕著な変形があるわけではないものの慢性的に水腫が出るようになると変形は進んでいく事が多いのでまずは水腫が改善するようにしていくのがいいと考えています。
さらに言うと水腫がある事で内側広筋が特に抑制がかかり筋の機能不全が起こる事が示唆されています。
ですので水腫が減るように超音波をまず行っていきました。

水腫を狙って行う場合は非温熱でする方が効果がいい事が多いです。
超音波を照射した後に刺鍼をしていきます。

膝の痛みには阿是穴で刺鍼をする事が多いのですがこの方の場合は
内外膝眼穴、曲線、陰陵泉、梁丘、血海、委中などの経穴の他に内側広筋、外側広筋などのトリガーポイントにも刺鍼をしています。
また患側足関節の背屈制限があったのでアプローチをしています。
これらの刺鍼を行う事で痛みがかなり改善されたのでEMSによる運動療法を併用しました。

運動療法を行う場合私の場合最初に行っていくもので多いのがパテラセッテイングをしていく事が多いです。
このパテラセッテイングをする際に内側広筋にEMSを通電しながら行う事によって内側広筋が動きやすくなるので、変形性膝関節症などの方などは内側広筋に力が入りにくくなっているので効果的に運動療法が出来るようになります。
EMSは『寝たまま簡単』ってよく聞きますが運動療法に加える方が効果的だと私は思っています。
施術後、1か月程度合計5回の施術で痛みがなくなり、医師の診断でも膝の水腫がなくなったことを確認して膝の施術を終えました。
以降もご自分で自宅の運動療法を続けてもらい、症状が出る事は今のところありません。
まとめ
今回は変形性膝関節症の鍼灸施術をご紹介していきました。
変形性膝関節症自体は残念ながら鍼灸施術で変形が治ることはありません。
ただ痛みを軽減する事、痛みを軽減した後に運動療法をする事で症状の改善は望めます。
特に変形性膝関節症初期になればなるほど効果はあると思います。
さらにいえば鍼灸施術は疼痛の軽減が起こる事が多いのでその状態で運動療法は効果的だと思っています。
是非ご覧になっていただいている先生方も運動療法をしていただければ鍼灸師が社会に寄与出来る事は増えると思っております。
最後までご覧くださりありがとうございます。