こんにちは!鍼灸スキルアップ塾の陣内です。
今回は『ハムストリングの肉離れの電気鍼治療の治療と設定』をについてまとめていきたいと思います。
ハムストリングの肉離れはスプリント系のスポーツでは頻発するスポーツ外傷です。
再発も多くしっかり治さないと苦しむアスリートは多いです。
私も肉離れの再発に何度も悔しい思いをしました。当ブログを少しでも臨床の一助になれればと思っています。
今回の内容は電気鍼の中でも低周波領域と微弱電流(マイクロカレント)を併用した電気鍼をご紹介していきます。
是非最後まで宜しくお願いします。
ハムストリングの肉離れ
ハムストリングの肉離れの前にハムストリングの筋肉を復習していきます。
半腱様筋
起始 | 坐骨結節 |
停止 | 脛骨粗面の内側 |
神経支配 | 脛骨神経(L4~S2) |
作用 | 股関節の伸展、膝関節の屈曲 |
栄養血管 | 下殿動脈、貫通動脈 |
半腱様筋は名前の通り下半分が長い腱となり、半膜様筋の上を走行します。また停止腱は縫工筋腱と薄筋の腱とともに鵞足を形成します。
半膜様筋
起始 | 坐骨結節 |
停止 | 脛骨内側顆内側部から後部、斜膝窩靭帯
膝窩筋筋膜、膝後方関節包、後斜靭帯、 内側半月板 |
神経支配 | 脛骨神経(L4~S2) |
作用 | 股関節の伸展、膝関節の屈曲 |
栄養血管 | 下殿動脈、貫通動脈 |
半膜様筋は名前の通り上半分は広い腱膜でできており、半腱様筋の深層に位置しており、下半分は比較的肉厚の厚い扁平な筋腹で構成されております。腱成分が非常に少ないのも特徴です。
大腿二頭筋
大腿二頭筋は長頭と短頭にわかれます。
大腿二頭筋長頭
起始 | 坐骨結節 |
停止 | 腓骨頭 |
神経支配 | 脛骨神経(L5~S2) |
作用 | 股関節の伸展、膝関節の屈曲、下腿の外旋 |
供給血管 | 大腿深動脈、貫通枝 |
大腿二頭筋短頭
起始 | 大腿骨粗線外側唇 |
停止 | 長頭腱を介し腓骨頭 |
神経支配 | 腓骨神経(S1~S2) |
作用 | 膝関節の屈曲、下腿の外旋 |
供給血管 | 大腿深動脈、貫通枝 |
大腿二頭筋短頭は、長頭腱の停止腱に深層から羽状に合流し、長頭腱を介して腓骨頭に力を伝達します。また短頭は表層を長頭により完全に覆われており、長頭の筋膜が触られます。
ハムストリングスの肉離れの分類
肉離れの分類は整形外科であるよせやんさんブログより抜粋させていただきます。
近年、MRI画像により肉離れには3つのタイプがあることがわかってきており、それにより重症度は軽症(Ⅰ型)、中等症(Ⅱ型)、重症(Ⅲ型)に分けられます。(奥脇透.臨床スポーツ.2010)
奥脇の分類
- Ⅰ型(図2左)は、出血所見のみが認められる軽症型です。
- Ⅱ型(図2中)は、筋腱移行部、特に腱膜の損傷が認められる中等症です。
- Ⅲ型(図2右)、腱性部の断裂や筋腱付着部の引き抜け損傷といった重傷型です。
図:肉離れのMRI像(左よりⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型)この肉離れの重症度はストレッチ痛を確認することにより類推することができます。
筋腱移行部損傷の程度を最も強く反映しているのがストレッチ痛です。
このストレッチ痛の有無によって軽症か否かを見分けることができるのです。
MRIは可能であれば撮像し、損傷型を判断して治療方針を決めます。
重症度とストレッチ痛
まず受傷直後にストレッチ痛の有無を確認します。ストレッチ感覚があり、痛みも軽度であればⅠ型(軽症)と判断します。ストレッチ痛が明らかなものはⅡ型以上を疑います。
Ⅱ型以上が疑われた場合は、可能であればMRIを撮影します。MRI画像でⅢ型が強く疑われた場合には手術療法の選択も検討する必要があります。
肉離れの診察と診断|重症度・スポーツ復帰時期を推測するためにもストレッチ痛の確認が大切です! この記事では、肉離れの診察・診断に関してまとめています。肉離れの診察・診断においては、受傷直後にストレッチ痛を確認することが最も大切であり、それにより重症度やス...
上記のようにスポーツ現場でストレッチ痛の有無などを確認して専門医などと連携していくのは非常に重要です
電気鍼治療の設定
まず下の表を確認してみてください
一次痛 | 二次痛 | |
神経 | Aδ線維 | C線維 |
周波数 | 高頻度
100Hz以上 |
低頻度
1~30Hz程度 |
パルス幅 | 100μsec以下 | 100μsec以上 |
出力 | 我慢ができるくらい | 筋収縮が起こるぐらい |
が基本的な考え方になります。
一次痛は急性期に多く、二次痛は回復期などに多いです。
そのため急性期の痛みが強く、局在のはっきりしている場合Åδを狙った電気設定になります。
また後程ご紹介する動画の中でご紹介している電気鍼の中ではマイクロカレントも併用しています。
その場合は周波数3Hzパルス幅50μSec出力20~40μAで行っています。これは組織が損傷した時の損傷電流に近いといわれ組織回復に適している電気といわれます。
ハムストリングの電気鍼治療
まず動画をご紹介します。
動画を見ていただいた方が流れもわかりやすいのでお時間がある場合は動画の方もご確認ください。
受傷部位の上下に鍼を刺鍼をしてマイクロカレントを通電します。そして受傷している筋肉に対して起始停止に近いところに鍼を刺鍼し低周波領域の電気を通電していきます。
マイクロカレントで組織回復を促しながら、通電による鎮痛を目的とします。
電気が終了後痛みが引き可動域が広がったら運動鍼などで仕上げを行うとより症状が軽くなりますよ。
ハムストリングの運動鍼の記事はこちらからどうぞ
まとめ
今回はハムストリングの肉離れの電気鍼についてまとめました。臨床に落とし込んで少しでもお役にたてれば幸いに思います。
最後までご覧くださりありがとうございました。
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