今回は運動鍼についての第5弾『膝の痛みの運動鍼』です。
過去の運動鍼の記事はこちらになります。
あわせてどうぞ!
第1弾『首の運動鍼』
第2弾『シンスプリントの運動鍼』
第3弾『股関節の運動鍼』
第4弾
『ハムストリングの運動鍼』
運動鍼の記事はありがたいことに人気記事ですね!
是非見ていただいて、普段の臨床に落とし込んでいきましょう。
膝の痛みの運動鍼のポイント
まず今回ご紹介する膝の痛みに行う運動鍼の刺入ポイントは次の二点になります。
- 膝蓋骨の内側縁に沿って入れるポイント
- 膝蓋骨外上角の上部の外側広筋と腸脛靭帯の間のポイント
他にも場合によっては膝関節の内側裂隙に刺鍼する事もありますが、私はこの二点が多いです。
この二点について解説していきます。
膝蓋骨の内側縁に沿った運動鍼のポイント
まず見ていただきたいのが、膝の痛い方の多くは上の図のように膝蓋骨が外上方に引かれることが多く膝蓋骨の動きが限定されています。
臨床の中で膝蓋骨をモビライゼーションをされている方も多いと思いますが内側方向に動くことは少なく感じると思います。 膝蓋大腿関節(PFJ)の作りをみるとわかるのですが外側には動きやすく、内側に動きにくいのはわかるとは思います。
その結果、膝蓋骨の動きがパターン化しているのだと思います。
これは私見ですが、膝蓋骨が内側に動きにくいのは変形性膝関節症をはじめ腸脛靭帯炎、オスグッドなどのスポーツ障害にも多く診られます。
その為、膝蓋骨内側縁の動きをスムーズにすることが重要だと思っております。
膝蓋骨外上角の上部の外側広筋と腸脛靭帯の間の運動鍼ポイント
先ほどの膝蓋骨の動きに合わせて多いのが
内側広筋<外側広筋
という構図です。
内側広筋がしっかり働いて膝蓋骨を内上方に誘導をしてもらうためにまず行いたいのが外側広筋のタイトネスを緩和することです。
変形性膝関節症などの場合、内側広筋の機能回復訓練を行う前に外側広筋の筋緊張を落として行わないとなかなか内側広筋に刺激がはいりません。
ですので、膝の痛みを考えた時に外側広筋の筋緊張を落とすのは非常に重要です。
運動鍼を行うことによって筋緊張を落としながら膝の関節運動を起こせますよ!
膝の運動鍼の刺鍼法
実際行っている刺鍼の動画はこちらになります。
膝蓋骨の内側縁に沿った運動鍼の刺鍼法
膝蓋骨の内側縁に沿って打つ場合は基本の打ちかたは捻鍼法になります。
捻鍼法が苦手な方は管鍼法でもいいですが水平刺になるので捻鍼法の方が断トツでやりやすいです。
イメージは膝蓋骨の際を通すような感じで行ってください。
ポイントは鍼の深さで、皮下に入れるようにしましょう。
皮下組織の下の筋膜まで入れてしまうと必ず痛みを伴ってしまいます。
そこにまで入れると関節運動を行った時に鍼が筋の収縮に伴って動いてしまいます。
静止画ではわかりにくいですが、膝関節伸展位から屈曲しても鍼はまったく動いていません。
こうすることにより浅筋膜と皮下組織の滑走がよくなると考えています。
(実際動きがよくなるのがわかると思います。)
この鍼を刺している状態で膝蓋骨のモビリゼーションを行っていきます。
鍼を刺す前より動きがよくなるのがわかりますし、刺鍼下で行うモビリゼーションと刺鍼をしていない状態でモビリゼーションでは動きの良くなりかたが変わります。
このように鍼を行っていきます。
膝蓋骨外上角の上部の外側広筋と腸脛靭帯の間の運動鍼の刺鍼法
こちらの運動鍼のやり方は先ほどの膝蓋骨の運動鍼のやり方と少し変わります。
鍼を刺す姿位は膝の上に相手の足を乗せた状態で鍼を打っていきます。
この状態で膝蓋骨の外上角よりやや中枢に行ったところで腸脛靭帯との境のところに鍼を滑り込ませるように鍼を打ちます。
鍼を打って響く感じをだし鍼を、表皮近くまで抜きます。
まとめ
今回は膝関節の運動鍼をご紹介していきました。変形性膝関節症の患者さんは日本で800万人といわれています。もはや国民病ですね。
この中で運動鍼はリスクも少なく再現性が高いやり方だと思います。
是非臨床の中でお役にたててください!
触診の勉強におすすめですよ!