今回は運動鍼についての記事第8弾『足首の捻挫の運動鍼』です。
足首の捻挫はスポーツ外傷において一番受傷頻度が高いといわれています。
日常生活でも外傷の中でも一番多いといわれています。
その中で障害として残りやすいのが背屈制限です。
背屈制限が残ることによりその後、他の障害の原因になることがあります。
運動鍼をしながら可動域を拡げると効果的ですよ。
足関節の捻挫の背屈制限
青色にしている足関節の後方にある長母趾屈筋という筋肉ですが、走行を見てください。
距骨の後方を通っていることがわかるでしょうか?
長母趾屈筋は腓骨から起こり、距骨後方で斜めに走行し母趾に終わる筋肉です。
距骨の骨折などで後方に転移した場合に母指の屈曲が起こることをナウマン徴候といいますよね!?
それでもわかるように長母趾屈筋は距骨の動きや距骨との位置関係がわかると思います。
距骨と長母趾屈筋との位置関係がわかったら次に知ってほしいのが距腿関節の動きに対しての距骨の運動です。
距腿関節が背屈をする際、距骨は脛骨に対し後方に滑るように動きます。
これは背屈する際、脛骨の下端部に距骨が衝突を避けるように後方に滑るようになっています。
そこで思いだしてほしいのが長母趾屈筋との位置関係です。
捻挫などの外傷により長母趾屈筋の滑走不全が起こります。その結果、距骨の後方移動を阻害します。それにより背屈制限を起こします。
捻挫を起こす
↓
長母趾屈筋の滑走不全
↓
距骨の後方の滑りを阻害
↓
足関節の背屈制限
足関節の背屈制限を考えるとき、最低限まずこれらのアプローチを考えましょう。
足関節の運動鍼やり方
実際の鍼を打っている動画はこちらになります。
実際の動画を見ていただく方が流れもわかると思いますので是非動画のご視聴もよろしくお願いします。
足関節の鍼を打つ前に長母趾屈筋の位置を確認しましょう。
外くるぶしの後方に指をあて母趾を背屈させましょう。これで動く筋肉が長母趾屈筋です。
この筋肉の位置をマーキングしましょう。
長母趾屈筋に対して鍼を水平刺で鍼を打っていきます。
これをすることにより、皮下組織との滑走が改善されます。
イメージとしては皮下と筋膜の間に鍼を打っていきます。
これをするためには撚鍼で鍼を打っていく方がやりやすいと思います。
管鍼法でもできると思うのですが私は断然撚鍼法がやりやすいと思います。
簡単ですので是非技術を習得しましょう。
話しが少し脱線しましたが、撚鍼法ができると臨床の幅が広がりますよ。
水平刺がうまくいくと筋運動を起こしても痛みがありませんし、鍼が動くことがありません。
こうすることにより、筋を痛めることがありませんのでリスクが少ないと思います。
この状態で距骨の後方への滑り運動を誘導します。
外踝と内踝の下の距骨を両母指で固定します。
この状態で膝を曲げるに指示します。イメージはなるべく膝を前方に出してもらいましょう。
前方に膝が移動していくときに距骨を後方に動くように誘導をしていきましょう。
鍼がなくてもこの方法は有効ですが、鍼をした状態の方が効果は高いですよ。
距骨の滑走不全を除去しながらCKCで距骨の後方移動を誘導することで背屈制限が改善されていきます。
是非お試しください。
まとめ
足関節の背屈制限は臨床上かなり多いです。
足関節の後療でも多いですが、膝関節の痛みを考える場合でも併発していることも多いです。
応用が利くところですので是非臨床に落とし込んでいってください。
過去の運動鍼の記事はこちらになります。
あわせてどうぞ!
第1弾『首の運動鍼』
第2弾『シンスプリントの運動鍼』
第3弾『股関節の運動鍼』
第4弾
『ハムストリングの運動鍼』
第5弾
『膝の痛みの運動鍼』
第6弾
『腰の運動鍼』
第7弾
『手首の運動鍼』